ネット通販にはインフレータブルのSUPが数多くあります。
価格帯も幅が広く2万円を切る商品もあれば7万円を超える商品もあります。
ただそのほとんどがPVC素材になるため、あえて格安のインフレータブルSUPを選びました。
今回はAmazonさんで数多ある格安SUP、その中で【GENREEN】さんのSUPを購入したので、使用した感想などを紹介したいと思います。
私のSUP歴はないため素人目線になりますが、日頃は2馬力のゴムボートを使用しているため、SUPとゴムボートの比較も兼ねたインプレッションになります。
また使用目的は海釣りでの使用が主になるためご了承ください。
スペック、付属品
【素材】
PVC素材
【サイズ】
335×86×15㎝
【重量】
約8.5㎏
【最大積載量】
約200㎏
【空気圧】
12~15PSI
初期装備


【Dリング】
中央の滑り止めマットに4つ、前後に2つの計6つが初期装備になります。
物の固定や艤装にはDリングが必須になるため、初期に6つもあるのは艤装の幅が広がるためポイントが高いです。

【カメラスタンド】
お持ちの防水カメラを固定できますが、残念ながら私は所持をしていないため確認はできませんでした。
【伸縮ゴム】
パドルやランディングネットの固定、更には艤装にも役に立ちます。

【持ち手グリップ】
両サイドに2つと中央に1つ、更には前後にも各1つずつあります。
運搬の際にはもちろん、リーシュコードの固定にも使えます。


【空気入れバルブ】
購入サイトによると最高で15PSIの空気圧を入れる事が可能で、SUPの表面が固くても最低12PSIの空気圧を入れる必要があります。
また付属のダブルアクション空気入れは10PSI以下の空気圧ではメモリの反応はなく、決して初期不良ではありませんのでご安心下さい。

【バランスフィン】
フィンが3つも装備されているため安定性があり、落下防止のロック機能があるため安全性もあります。
付属品

【ダブルアクション空気入れ】
空気の出し入れをする時に使用し、更には空気を抜く際に真空状態にできます。
ただダブルアクション空気入れを使用しなくても、折りたたみながら徐々に空気を抜けば専用の収納ケースに保管も可能です。
空気圧計が内蔵されていますが低圧の時は反応しないため注意が必要です。
【リーシュコード】
伸縮性に優れており、SUP本体と自身の足首を固定するのに使用し、不意に落水した時でもSUPが流されないため必要なアイテムです。
【3分割シングルパドル(アルミ製)】
長さが調節可能なパドルになります。
カーボン製やグラスファイバー製のパドルより重量がありますが、強度と価格面が優れているのが特徴。
【バランスフィン×3】
フィンの数が増えれば安定性が増すため、初期状態で3つあるのは高ポイントになります。
また取り外しも容易でロック機能もあるため、破損がない限り問題なく使用できます。
【SUP収納ケース】
リュックタイプの収納ケースが付属しています。
持ち運ぶ時や保管の際に重宝します。
【パンク修理用ツール】
パンク用の修理ツールがありますが、格安SUPのためパンクの時は買い替えた方が安心だと思います。
ですが修理ツールが付属しているのは心強いですね。
【スマホ防水ケース(購入時のおまけ?)】
おまけ程度のスマホ防水ケース。
どの程度の防水レベルなのかも不明なため、大事なスマホを守るためにも、防水レベルが確かな商品を使用した方がよろしいかと思います。
購入して初めに行うこと

ゴムボートもそうですが、初期不良により空気漏れがないか事前に調べる必要があります。
1晩ほど様子を見て問題がないか確認をしましょう。
決して初めての空気入れを使用する当日、または直前に行わないようにしましょう。
今回の空気入れでは、付属品のダブルアクション空気入れを使用しました。
時間にして10分ほどで既定の空気圧に達しましたが、これが結構大変でしたので体力に不安がある方には電動ポンプもおススメです。
ダブルパドルの変更もありかも?

付属品のパドルはシングルパドルで、釣り目的には適さないと判断し追加でダブルパドルを購入しました。
ファーストインプレッション

初めてのSUPなので、まずは練習を兼ねて人目が多い場所で挑戦してみました。
場所は石川県の内灘海岸で、サーフに車を駐車できるためSUPフィッシングだけではなく、ウェーダーを着用したルアーフィッシングやサーフィンも人気のエリアになります。
【天気】
陸から沖に向かって風速1.5m前後、高波は0.2mとコンディションはベタ凪になります。
実際に乗ってみた感想


練習を兼ねてのファーストインプレッションなので、とりあえずは様子見で500mほど沖まで漕いでみました。
朝マズメで魚の活性も上がっており、ポイントに着くまでに何度かナブラも沸いていました。
残念ながらタックル等は積んでいないため魚の正体は分かりませんが、最近の釣果情報からサゴシが濃厚かと思います。
【良かった点】
非常に硬くなるまで空気を入れるため、インフレータブル特有の安定性に不安を感じていましたが、実際に使用してみて杞憂に終わりました。
使用した日はベタ凪のため沖合の波=船の航走波ですが、実際に航走波を受けてもしっかりと波を乗り越えており、SUPの上部が波にさらわれる心配もありませんでした。
また安定性の実験で大きく左右に揺らしましたが、転覆するような不安はなく、安定性も十分にありました。
【注意点】
沖合での安定性は確認できましたが、最大の難関は波打ち際でした。
高波が0.2mでも波打ち際には波が少なからず発生します。
私はゴムボートだけではなくFRPボートも所持していた事もあったため、極力は波に対してボートを横にしないように心がけたのが良かったのか転覆こそしませんでしたが、それでも初心者には難しい場面でした。
また常時座って重心が安定していたのも良かった点かもしれません。
一度だけ立つことにも挑戦してみましたが、これは初心者には非常に難しく、膝たちでもバランスに不安を感じました。
その点ではシングルパドルからダブルパドルに変更したのは功を奏したと言えます。
練習を経て艤装のイメージ
ゴムボートとは違いSUPは出航時に転覆するリスクがあります。
そのため艤装は簡潔に済ませ、できるだけ道具を積まない必要があると感じました。


【クーラーボックス】
クーラーボックスの固定は100均に売っている自転車用のバンドを使用しました。
幅が広いためSUPのダメージも軽減が期待が持てるためおススメです。
【ライフジャケット】
ゲームベストを使用して道具を最低限にする事により、タックルボックスを排除しました。
それにより転覆時のリスクを最小限に抑え、出航時の手間を最低限にする事が可能となります。
【ランディングネット】
インフレータブルのSUPを使用するには必須アイテムです。
中には鋭利なヒレの魚もいるため、パンクのリスクを軽減できるため必ず準備が必要になります。
【パラシュートアンカー、アンカー】
SUP本体が軽量のため非常に流されやすいです。
周辺にブイなどの目印があれば現状の位置を把握できますが、ほとんどの海域にはブイ等はなく、釣りに集中するあまりに予想以上に流されることもあります。
手遅れになる前にパラシュートアンカーなどを使い、流されるのを最小限に抑える必要があります。
【ロッドホルダー、フラッグホルダー】
ロッドホルダーのサイズがクーラーボックスの持ち手と同じだったため、2馬力ゴムボートで使用している自作のロッドホルダーを利用しました。
また転覆時に備えてストラップ等での固定も必須になります。

あると便利なアイテム
ござ

2馬力ゴムボートの時にも使用していますが、サーフでの準備ではござは非常に役に立ちます。
表面上では綺麗に見えるサーフでも、実際は色々な物が埋まっているケースがあります。
貝殻程度なら問題はなくても、中には割れた瓶の破片や鋭利なプラスチックなどもあり、インフレータブルの寿命を著しく縮める原因になります。
そのため直接サーフの上で膨らませず、ござなどでワンクッションを敷いて膨らませましょう。


水タンク

海水浴でも同じことが言えますが、サーフの釣りは非常に汚れます。
特に釣り終わって砂まみれの道具や足元を綺麗に洗い流すだけでも、車内をある程度は綺麗に保てます。
ゴミ袋かカゴ


何かと便利なのがゴミ袋かカゴです。
砂まみれの道具などをまとめるのに役に立ちます。
眼鏡ストラップ
転覆のリスクが高いSUPにおいて、眼鏡や偏光サングラスも守る必要があります。
100均でも購入する事もできるためおススメです。
ただ100均の商品は素材(金具)や耐久性に難があるため、使用後は必ず洗浄をしましょう。
防水バッグ
出航と帰港時の転覆リスクを考えて、リールを砂から守るために役に立ちます。
そのため出航後と帰港前にタックルの準備と片付けをする必要がありますが、波打ち際でリールの落下=故障の原因に繋がります。
手間かもしれませんがその方法が最も安全です。
また今では100均でも防水グッズを取り扱っており、非常に安価に入手が可能なのも高ポイントです。
2馬力ゴムボートとSUPどちらも使用してみて
両方ともインフレータブルで釣りが目的ですが、使用してみて似て非なる物でした。
例えば2馬力ゴムボートは衝撃吸収性に優れているため、ある程度の波は衝撃を吸収して乗り越えます。
それに対してSUPは衝撃を弾いて乗り越える印象を受けました。
2馬力ゴムボートの出航基準は風速5m以下、高波0.5m以下での環境が快適に釣りができる基準となり推奨しています。
今回初めてSUPを体験してみて、高波が0.5mで出航が可能かと問われると「無理」と私は答えます。
もちろん沖にさえ行けば快適な釣りはできますが、特に初心者が波打ち際から無事に抜け出せるとは到底思えませんでした。
つまりSUPフィッシングをより安全に楽しむには【風速2m以下、高波0.2m以下】が初心者にとっての基準になると感じました。
ただ沖にテトラポットがある場合は限りではなく、防波堤としての役割もあり波が穏やかになるため、そのようなエリアから出航するのも良いかもしれません。
SUPの最大のメリットは手軽さ
2馬力ゴムボートやFRPボートと比べるとSUPは安全性に難を感じますが、そのデメリットを帳消しにできる手軽さがあります。
出航準備もそうですが使用後の後片付けの工程も非常に少ないため、短時間の釣行なら間違いなくSUPに軍配が上がります。
例えば「朝マズメだけ釣りをしたい」や「仕事前や用事前の短時間だけ」、「近場で十分」などの限られた環境ではSUPは優秀です。
逆に「大漁に魚を釣りたい!」や「半日ほどの釣行日程」を考えている場合は2馬力ゴムボートに軍配が上がります。
使用するタックルにも変化が…
転覆リスクを考えてハイエンドモデルより、エントリーモデルのタックルを使用した方が、落水した時の心理的にダメージが少ないです。
また複数のタックルで挑むより1つに絞り兼用での釣りが好ましいです。
そのため初心者の技量を考慮し、SUPが行動できる範囲を1㎞~500mと推測し、硬めのエギングタックルが汎用性に優れていると思います。
まとめ
SUPは手軽にオフショアを経験できますが、その反面で非常に危険な釣りの方法となります。
インターネット情報で使用可能な風速や高波の情報を真に受けるのではなく、不安要素を1つでも感じた場合は釣行を諦める決断も大切です。
また波をダイレクトに感じるため船酔いのリスクが高く、事前に薬を服用するなどの対策をし、沖合で帰港困難の状況を作らないのも大切です。
- 非常に手軽にオフショアを体験できる。
- 準備や後片付けなどの手間が少ない。
- ゴムボートやFRPボートに比べて安価に入手が可能。
- 気室が1つしかないためパンクやバーストは非常に危険
- 出航状況によってはずぶ濡れになる。
- あまり遠出の釣りには適していない。
- パドルの紛失や破損をすると帰港困難に陥る。
- 艤装や持ち込める道具に限界がある。
- 使用できる季節が限られる。
デメリットが多いですが、1㎞圏内であれば使い勝手が非常に良く、手軽に楽しむ事が可能になります。
ただ1㎞圏内であっても逃げ場のない海上には違いはありません。
決して無理な釣行は控えるのは当たり前で、気候の変化をいち早く察知し、状況に応じて帰港する決断の早さも大切になります。
SUPの購入を検討中の方に少しでも役に立てたのなら幸いです。